糖尿病性腎症の食品交換表は「糖尿病の食品交換表」とどこが違うのか?!

糖尿病性腎症の食品交換表は「糖尿病の食品交換表」とどこが違うのか?!

糖尿病性腎症の食品交換表は「糖尿病の食品交換表」とどこが違うのか?!

 

 

食後数時間経っても高血糖状態が持続するようになったり、なおかつインスリンによる糖代謝も正常に機能していないと判断されると、「糖尿病」の診断を受けることになります。

 

この診断を受けると、それ以降は必要以上に高血糖状態になったりそれが長時間持続してしまわないように、血糖値をコントロールするための食生活や運動といった生活習慣の改善が必須となります。

 

この頃は、おもに血糖値を安定させることでインスリンの過剰分泌を防ぐことや、過剰分泌が継続することによる膵臓の機能低下を防ぐことを目的に「食品交換表」が作られることになっています。

 

 

 

○“糖尿病食のイメージ”の所以たる腎症の食事療法

 

糖尿病の診断を受けたあと、食生活の改善や日頃からの運動習慣化によって血糖コントロールが上手くできるようになれば、あとはその生活を継続しながら様子を見ていけるようになります。

 

しかし、生活習慣の改善の効果が現れるより前に病状が進行してしまうと腎症をはじめとした合併症を引き起こすことになりかねず、そうなると今度は気を付けなければいけないものが“血糖”だけではなくなってしまい、日々の食事の指導もより厳しいものに切り替えなければいけなくなります。

 

糖尿病の合併症のうち、食生活に最も大きな影響を与えるのが糖尿病性腎症です。

 

腎症を発症すると、血糖とともにタンパク質や塩分、カリウムといったたくさんの要素に気を使った食生活への見直しが必要となります。

 

この食事療法が、「糖尿病食は薄味」「糖尿病食はおいしくない」というようなイメージを定着させてしまっている所以とも言えるでしょう。

 

しかし一つ注意して頂きたいのは、腎症は尿タンパクが検知されるようになってからが発症ではなく、尿タンパクが正常値の時からすでに「腎症前期」とされているので、尿検査で指摘を受ける以前からも“腎症を意識した”血糖コントロールが必要となるということです。

 

 

糖尿病性腎症の食品交換表は「糖尿病の食品交換表」とどこが違うのか?!

 

 

 

○腎症の病期と治療について

 

糖尿病性腎症は、病状の進行度合いに応じて食事療法の制限内容が変わってきます。

 

腎症は、おもに尿の中に排出されるアルブミンやタンパク質の量によってその病期が分類されています。

 

尿中にまだアルブミンが検知されてない「正常」の段階でも、第1期(腎症前期)と分類され血糖コントロールを意識する必要があります。

 

その後、尿中に「微量のアルブミン」が検知されるようになると第2期(早期腎症)へ移行となり、腎症前期の時よりもさらに厳格な血糖コントロールと血圧を下げる降圧療法が開始となります。

 

降圧療法が開始になると、食事の中の塩分にも厳密に気を付けなければいけなくなり、薄めの味付けなどを意識しなければいけなくなります。

 

尿中に持続的にタンパクが検知されるようになると、第3期A(顕性腎症前期)に移行となり厳格な血糖コントロールと降圧療法に加えて、「タンパク制限食」が開始となります。

 

タンパク制限食が始まる頃には<糖尿病性腎症と診断されたらどんな食事に気を付けたら良いか?>の記事でもご紹介したように、炭水化物(糖質)に気を付ける食事から炭水化物もしっかり食べる食事に変わるので、しっかりとタンパク制限食について理解することが重要となります。

 

そこからさらに病状が進行すると、第3期B(顕性腎症後期)に移行します。

 

この頃になると、食事指導は血糖コントロールよりも降圧療法と「低タンパク食」に重きが置かれることになります。

 

低タンパク食になると、タンパク制限食の頃よりもさらにタンパク質の摂取量に注意し、エネルギーの摂取不足などにも気を付けて食事の献立を考えなければいけなくなります。

 

その後、より病状が進行して腎機能の低下が著しくなると第4期(腎不全期)となり、降圧療法や低タンパク食に加えて透析療法が導入されます。

 

透析開始後は、第5期(透析療法期)として透析管理を行いながら場合によっては腎移植が検討されることもあります。

 

この病期分類で重要となるのは、第2期までであれば腎臓の機能を“元の状態”に戻すことができるということです。

 

これがひとたび第3期まで進行してしまうと、それ以降は“悪化を防ぐ”ことはできても「元に戻す」ことはできなくなってしまうので、いずれは透析生活となってしまう可能性も高くなってしまいます。

 

このことを念頭において、腎症を早期に指摘された場合にはできるだけ早く食生活の見直しを徹底し、腎機能の低下の食い止めと機能の改善を図れるよう意識していきたいところです。

 

 

糖尿病性腎症の食品交換表は「糖尿病の食品交換表」とどこが違うのか?!

 

 

 

○糖尿病性腎症の食品交換表の特徴とは

 

糖尿病と診断されると、食事療法の指導を受ける際に「食品交換表」について説明を受けることになります。

 

この食品交換表はおもに血糖コントロールを目的に、糖質・タンパク質・脂質・ビタミンやミネラルを含む食材と調味料について7項目に分類し、それぞれの食材を80kcal=1単位として使用するにはどれくらいの量になるのかを示したものです。

 

この食品交換表で表1〜表6まで分類されている食品については、同じ表内に分類されているものであれば自由に交換できるというルールになっています。

 

そして、糖尿病性腎症の診断を受けるとこの食品交換表が「糖尿病性腎症の食品交換表」というものに変更されます。

 

腎症のための食品交換表に変わることで糖尿病の食品交換表と異なってくる点は、大きく分けて2つあります。

 

まず一つ目は、表1となる『穀物に含まれる糖質』の分類がタンパク質の含有量によってA〜Cに、表3に分類されている『牛乳と乳製品以外に含まれるタンパク質』の分類がその含有量によってA〜Dにさらに細かく分類されているところです。

 

そして二つ目は、食品交換表の中に「治療用特殊食品」と「エネルギー調整食品」の項目が追加されている点です。

 

この2つは、腎症患者の食生活において課題となる良質なタンパク質を含む食材を効率よく献立に取り入れることや、エネルギーの摂取量が不足しがちになることを解決できる方法として食品交換表にまとめられています。

 

 

糖尿病性腎症の食品交換表は「糖尿病の食品交換表」とどこが違うのか?!

 

 

 

○不自由の多くなる透析生活は極力避けられるよう日々の生活習慣の見直しを

 

腎臓の機能低下が現れ始めると、どうしてもそれまでの食生活よりもさらに気を使わなければならなくなります。

 

また、透析が必要な体になってしまうと腕にシャントと呼ばれる刺入部を作らなければいけなくなるので、重いものを持ったりすることができなくなり日頃の生活中においてもかなり制限される場面が出てきて不便な思いをしなければならなくなります。

 

また週に数回行わなければならない透析治療は大きく体力を消耗させるので、疲れやすくなってしまい好きなことをできる機会も少なくなってしまいます。

 

このため、糖尿病性腎症を指摘されてからはもちろんなのですが、糖尿病と診断されてしまった時点でまだ腎臓の機能低下が明らかになっていない状態だとしても、その先の腎症への進行は最初から危惧し、生活習慣の見直しを本気で行いましょう。

 

また腎症を指摘されてしまった場合には、医師や栄養士としっかりコミュニケーションを取りながら正しいタンパク制限食について理解し、「腎症のための食品交換表」を活用してできる限り病状が進行していかないように、可能であれば腎機能の回復も目指して健康的な生活を送れるようにしていくことが大切です。

 

 

 

 

 

 

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